Azure / AWS / Google Cloud セキュリティガードレール早見表 — Defender for Cloud は他クラウドの何にあたるか
Azure Policy で Microsoft Defender for Cloud の有料プラン有効化を Deny するガードレールを導入した際、「これは AWS / Google Cloud でいうと何にあたるのか」を整理する機会があったので、早見表としてまとめます。
Defender for Cloud は「設定の健全性評価(CSPM)」と「脅威検知(CWPP)」を1つに束ねたサービスのため、機能レイヤーごとに分解すると3クラウドの対応が見えやすくなります。
機能レイヤー別 対応表
対応は概念レベルの目安です。機能範囲は1対1では一致しません。
| 機能レイヤー | Azure | AWS | Google Cloud |
|---|---|---|---|
| CSPM(基本) 設定ミス検出・セキュアスコア・ベンチマーク準拠評価 | Defender for Cloud Foundational CSPM(無料) | AWS Security Hub (チェック件数課金) | Security Command Center Standard(無料) |
| CSPM(高度) 攻撃パス分析・規制標準ダッシュボード | Defender CSPM(有料) | Security Hub の拡張機能 (エクスポージャー分析等) | SCC Premium / Enterprise(有料) |
| 脅威検知(CWPP) | Defender for Servers / Storage / SQL / Containers 等の有料プラン | Amazon GuardDuty (解析量課金) | SCC Premium の Event / VM / Container Threat Detection |
| 脆弱性管理 | Defender Vulnerability Management (Defender for Servers / Containers に内蔵) | Amazon Inspector | Artifact Analysis + Web Security Scanner |
| 構成ルールの監査 準拠の可視化(強制しない) | Azure Policy(Audit)(無料) | AWS Config(評価課金) | Organization Policy の dry-run + Cloud Asset Inventory |
| 予防ガードレール 違反操作そのものを拒否 | Azure Policy(Deny) | SCP / RCP(Organizations) | Organization Policy + IAM Deny Policy |
| 通知・連絡先 | Security Contact | 代替連絡先(Security)+ EventBridge → SNS | Essential Contacts + SCC 通知(Pub/Sub) |
ざっくり言うと 「Defender for Cloud ≒ Security Hub + GuardDuty + Inspector + Config」「Defender for Cloud ≒ SCC + Org Policy」 で、Azure は1サービス、AWS は複数サービスの組み合わせ、Google Cloud はその中間(SCC がほぼ1対1で対応)という構図です。
課金モデルの違い — 「まず無料で可視化」が成立するか
3クラウドで一番差が出るのはここです。
Azure: 可視化は完全無料
- Foundational CSPM(セキュアスコア・推奨事項・MCSB 準拠評価)は無料
- Azure Policy も無料(Azure リソースへのポリシー評価に課金なし)
- → コスト面のハードルなしに「Audit で全リソースを可視化 → 違反ゼロの実績を見て Deny に昇格」という段階適用を始められる
AWS: 可視化の段階から従量課金
- Security Hub はセキュリティチェック件数、GuardDuty は解析量、Config はルール評価回数と、それぞれに従量課金が発生
- 同じ「まず可視化」でもゼロ円にはならず、対象アカウント数に応じたコスト見積もりが先に必要
Google Cloud: 中間型
- SCC Standard(無料)で基本的な設定ミス検出までは可能
- 脅威検知・コンプライアンスダッシュボードは Premium / Enterprise(有料)で、そこから先は AWS 型の課金
予防ガードレール(Deny)の実装レイヤーの違い
同じ「Deny」でも、どの階層で誰が管理するかが3クラウドで異なります。
| Azure | AWS | Google Cloud | |
|---|---|---|---|
| 実装 | Azure Policy(effect: Deny) | SCP / RCP | Org Policy + IAM Deny Policy |
| 評価レイヤー | ARM(コントロールプレーン) | Organizations | 組織・フォルダ階層 |
| 適用の起点 | サブスクリプション単位から開始可 | 組織管理アカウント | 組織・フォルダ |
- Azure: Azure Policy が ARM レイヤーで全操作を評価するため、ポータル / CLI / API / IaC のどの経路でも一律に拒否できる。サブスクリプション単位から始めて管理グループへ広げられるので、1チームのスコープでもガードレールを完結させやすい
- AWS: SCP / RCP は Organizations の管理アカウント側で適用するため、ガードレールの管理主体が個々のアカウントではなく組織管理者に寄る
- Google Cloud: 役割が2系統に分かれる。「リソースをどう構成できるか」は Organization Policy、「誰がどの API を呼べるか」は IAM Deny Policy。課金設定の変更禁止のような操作ガードは後者の領域(IAM Deny Policy の実践は 別記事 に書きました)
ユースケース例: 「有料プランの誤有効化」を防ぐ場合
Defender for Cloud の有料プランはポータルの「すべて有効にする」ボタンや推奨事項の「修正」ボタンのワンクリックで有効化され、その瞬間から従量課金が始まります。これを防ぐガードレールを各クラウドで組むと:
- Azure:
Microsoft.Security/pricingsのpricingTier = Standardへの変更を Azure Policy(Deny)で拒否。non_compliance_messageに対処手順(IaC リポジトリでの PR 作成手順など)を書いておくと、拒否された人がその場で次のアクションを取れる - AWS:
securityhub:*やguardduty:CreateDetector等の API を SCP で Deny - Google Cloud: SCC の tier 変更に関わる権限を IAM Deny Policy で拒否(Organization Policy では表現しにくい領域)
まとめ
| 観点 | Azure | AWS | Google Cloud |
|---|---|---|---|
| CSPM 可視化 | Foundational CSPM(無料) | Security Hub(有料) | SCC Standard(無料) |
| 脅威検知 | Defender 有料プラン群 | GuardDuty | SCC Premium |
| 予防(Deny) | Azure Policy | SCP / RCP | Org Policy + IAM Deny |
| 無料で始められる範囲 | 可視化 + Policy 全部 | なし(全て従量課金) | 基本の可視化まで |
マルチクラウド環境でガードレールを整備する場合、3クラウドとも「可視化(Audit)→ 違反ゼロの実績確認 → Deny 昇格」という段階適用のアプローチ自体は共通で使えます。違うのは無料で始められる範囲と、Deny をどの階層で当てるか、という点でした。
※ 対応関係は2026年8月時点・概念レベルの目安です。正確な仕様・料金は各クラウドの公式ドキュメントを参照してください。
